ここ数年デジタルトランスフォーメーション(DX)というフレーズを聞く機会が増えたのではないでしょうか。
この記事では中小企業にとってデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が今後いかに重要であるかをわかりやすく解説します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良く変化させる」という定義で、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。


2018年にはわが国でも経済産業省がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)をまとめ、各企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を速やかに実行していくことを推進しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、大企業を中心に行うものと思われがちですが、中堅・中小企業にとってもビジネスを飛躍させるための大きなチャンスであり、さまざまな分野でデジタル化が加速している昨今では企業の規模に関わらず必要不可欠な概念と言えるのです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的な例

では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的な例としては、どのような事が挙げられるのでしょうか。

 スマートフォンの登場によって、人々は手軽に使える情報端末を手に入れるようになり、電話やメールといった従来の携帯電話の機能だけでなく、新聞や雑誌・書籍の購読、購買活動やコミュニケーション方法まで大きな変化が生じました。

そのような中、1つの事例として電子書籍の登場においては、従来の紙の書籍とは異なり、配信プラットフォームさえあれば印刷のための工場や配送、販売店も不要です。利用者も24時間いつでもどこでも好きな時間に書籍を購入することが可能になり、居住空間の中で本棚が占めていた空間を大幅に減らすことにもつながります。

このように、ITの利活用やデジタル化が単純な効率化やコストダウンのみをもたらすのではなく、人々のこれまでの常識や生活上の行動様式を大きく変え、より良い価値や体験を提供するような取り組みがデジタルトランスフォーメーション(DX)なのです。

昨今、世界的に広がっている自動車のシェアリングや、無人店舗、無人工場、車の自動運転等の取り組みもデジタルトランスフォーメーション(DX)に該当します。

従来、日本においてIT化といえば、主に既存のビジネスをデジタル化し業務の効率化やコストダウンを目的として行われてきました。しかし、結果的に国際競争力で大きく遅れてしまいました。ITを利活用した新しいビジネスやビジネスモデルが海外で次々と生まれる中、日本はインフラの整備こそ進んだものの、これまでデジタルトランスフォーメーション(DX)と言えるほどの改革につながるアイデアは少なかったのです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を起こすために必要なものは、大きな資本ではなく、共感できるビジョンと、それを実現する優れたアイデアと技術です。

日本には安価かつ便利なITインフラやサービスが多く存在し、クラウド技術を活用することで自社設備をほとんど必要とせずにITシステムを利活用し、新しいサービスを開発したり、提供することができる環境が既にあります。

中小企業であっても、ビジョンとアイデア次第で新しいビジネスやビジネスモデルを作り出すことは十分に可能なのです。更に言えば、意思決定の速度が早く、アイデアをすぐに形にできる中堅・中小企業は大企業よりも有利だと言えます。

中小企業の経営課題はデジタルトランスフォーメーションが解決する!?

動画配信サービスやSNSのようなITを利活用した新たなプラットフォームにより、日本でも既にデジタルトランスフォーメーション(DX)が始まっている分野も多くあります。既存のビジネスプロセスにこだわらず、改めて広い視点でビジネスを見つめ直すことで業務に抜本的な変化が生じることもあります。

中小企業の多くが直面する経営課題は、資金の問題や、人材不足、設備や技術の不足、集客や販路の問題とさまざまです。これらの経営課題を解決する可能性をデジタルトランスフォーメーション(DX)は有しているのです。

ビジネスアイデアはあるものの、事業を行うための自己資金がない場合には、クラウドファンディングによって資金を集めることも可能です。また、動画配信サイトなどでプロトタイプを発表することで注目を集めることができれば、スポンサーや提携先が現れる場合もあるのです。

電子マネーやネットバンキング、オンラインの資産管理ツールなどのフィンテックは、お金や資産をデジタル化して管理するだけではありません。

決済速度の高速化を可能とし、お金の出し入れや受け渡しに際して物理的なお金の輸送や金額の確認も不要にしました。その結果、会計担当者の負担も軽くなり、会計資料の作成速度や精度の向上や、迅速な経営判断も可能になっています。

人材不足もリモートワークを取り入れることによって解決できる場合があります。通勤できる地域にこだわらなければ、自社に必要な人材を得られる可能性もありますし、時には海外の優秀な人材を得ることも可能です。

チャットツールやオンライン会議システムを利用することで、遠隔地の従業員とも事業所と同様に密なコミュニケーションを取ることができます。こうしたツールは、事業所で設備を過剰に抱える必要もなく、オフィスサイズの縮小によるコストダウンにも効果的です。

問い合わせに対してAIが内容を解釈して対応するチャットボットも普及し始めており、観光地や商業施設の道案内にAIを搭載したロボットを導入した施設もあります。人手を減らすとともに、利用者に新しい体験や利便性を提供し、顧客満足を高めます。

オフィスで必要となるさまざまな設備やサービスも、必要なときに必要な分だけ使えるクラウドサービス化が進んでいます。中には無料で使えるサービスも多く、上手に活用することでコストダウンだけでなく設備や人員に柔軟性をもたせることが可能です。

 集客や営業の課題もクラウドのMA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールを活用する事により、少ない人員でより効率的にマーケティング活動や営業活動を行う事も可能です。

中小企業ではどうしても日々の業務に追われて、なかなか業務改革に踏み出せないことも少なくありません。
しかし、時には立ち止まり、現在の経営資源やビジネスプロセスを改めて見つめてみることで、より理想的なビジョンを考え、その実現に向けて普段から新しいデジタル技術やデジタルツールに常にアンテナを張りながら、自社の課題に誠実に向き合うことが大切なのです。

まとめ

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、顧客に新しい価値や体験を提供するだけではなく、自社のビジネスモデルのあり方を大きく変える可能性を持ちます。ただのデジタル化や効率化のためのIT利用ではなく、抜本的な変革へ向けて、攻めのIT利用を考えてみましょう。

中小企業こそ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の恩恵を受けるチャンスです。

今までの常識やビジネスモデルからの脱却を模索し、より企業の競争力を高めるため、デジタルトランスフォーメーション(DX)に前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。