【顧客接点DX:第一回】マーケティング4.0時代はCX戦略が重要

企業内の様々な部門でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される中、顧客接点の中心となるマーケティング部門や営業部門、カスタマーサポート部門のDXについてもより重要性が問われています。

企業経営におけるゴールの一つは「売上を伸ばしかつ安定した収益基盤の仕組みを作る」ことであり、顧客接点となる各部門のDXは企業の売上改善に大きな影響を与えます。

そこで本連載では、マーケティング、営業、カスタマーサポート部門を中心に「顧客接点のDXはなぜ必要なのか?」「どのように進めていくべきか?」について、以下のステップで解説していきます。

【第一回】マーケティング4.0時代はCX戦略が重要
【第二回】売上改善のために注力すべき2つのポイント
【第三回】潜在顧客を増やすためのマーケティングDX施策
【第四回】引き上げ率を改善するための各部門のDX施策
【最終回】顧客接点DXを推進する組織体制の変革

第一回の記事では、時代背景とマーケティング戦略の移り変わりについて、アメリカの経営学者「フィリップ・コトラー」氏が提唱した「マーケティングX.0」のモデルを例に、昨今ではどのようなマーケティング戦略が求められるているのか?について解説していきます。

 

 

時代背景とマーケティング戦略の移り変わり

広義の「マーケティング戦略」とはなんでしょうか?世の中には様々な言葉の定義が存在しますが、一言でいうと「売れる仕組みを作ること」ではないでしょうか。

それは単に、製品やサービスを世の中に認知するためだけの戦略ではなく、最初の認知段階から売れるまでの段階、売った後の段階を見据えた「仕組みそのもの」を作る戦略であるべきです。

アメリカの経営学者フィリップ・コトラー氏によると、このマーケティング戦略の考え方は、その時代の社会環境や「買い手」と「売り手」の需要と供給の変化により、以下のような進化を遂げており、今もなお変化を続けています。

marketingX.0

 

それでは、各時代の特徴について見ていきましょう。

マーケティング1.0の時代:製品主導型(1950年〜)

「第二次産業革命」に代表されるこの時代は、世界的な工業の発展により、「コストを抑えた大量生産で大量にモノが売れる時代」でした。

そのためマーケティング戦略としては、どんな製品(Product)を、どんな価格で(Price)、どこで(Place)、どのようなプロモーション (Promotion)で売るかを分析する「4P戦略」や、マス市場向けの宣伝広告に注力する「マス広告戦略」が主流でした。

買い手側の顧客ニーズは関係なく、売り手側の製品やサービスの機能や性能を中心にマーケティング戦略を考えれば、大量に売れる時代であったと言えるでしょう。

 

マーケティング2.0の時代:顧客主導型(1970年〜)

「オイルショック」に代表されるこの時代は、店頭に同じ製品が大量に並び機能や性能のアピールだけでは売れなくなるなど、これまでのように簡単にモノが売れなくなり、いわゆる「顧客ニーズで製品の差別化が重要」な時代へと変化しました。

そのため、マーケティング戦略としては、顧客ニーズをグループ化し(Segmentation)、どの顧客を狙うかを決め(Targeting)、製品の立ち位置を明確にする(Positioning)「STP分析」や、競合他社との差別化に注力する「差別化戦略」が主流となりました。

これまでの「売り手側主導」のマーケティング戦略から、現在も続く「買い手側主導」のマーケティング戦略へ転換した時代とも言えるでしょう。

 

マーケティング3.0の時代:価値主導型(1990年〜)

「インターネット」が登場したこの時代は、買い手側があらゆる情報を入手でき、口コミや掲示板などを通じて買い手側同志でも自由にコミュニケーションが図れる時代となったため、時代が大きく変化しました。

製品の機能や性能が優れていることはもはや当たり前の時代となったため、買い手側の興味は、製品やサービスそのものではなく、「その製品がもたらす価値 (企業や製品のビジョン・環境や社会への貢献度)」に転化したのです。

そのため、マーケティング戦略も、これまでの製品基軸ではなく、企業イメージや社会貢献をアピールする「ブランディング戦略」が主流となりました。

製品やサービスに対するマーケティング戦略ではなく、社会や顧客に対するマーケティング戦略へ変化した時代とも言えるでしょう。

 

マーケティング4.0の時代:自己実現主導型(2010年〜)

モノや情報が溢れる時代となった今、「ソーシャルメディア」の登場によりさらに時代は変化します。買い手側の一人一人は、FacebookやTwitter, LinkedIn, Youtubeなど様々なSNSを通じて自由に自分の好きな意見を発信することが可能となりました。

自分の好きなことを好きなだけ追求することが可能な時代となったため、買い手側の興味は、「こういうイメージの人になりたい」や「充実した幸せな人生を送りたい」など、人としての本来の「自己実現」に対して最も興味を持つようになりました。

自己実現とは、アメリカの心理学者のマズローが提唱する「欲求5段階説」の一番上の層を指し「なりたい自分の実現イメージ」を指します。

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買い手側一人一人の趣味や嗜好、自己実現イメージは異なります。そのため企業は、各個人にとって「カスタム化」や「個人化」された製品やサービスを通じて「自己実現に向けたよりよい顧客体験」を与える必要性が出てきました。

それは単に製品やサービスそのものが与える体験ではなく、買い手側が製品やサービスを知る段階から調査・検討する段階、購入した後の段階までの一連の流れを通じた最適な顧客体験が重要となります。

そのため、マーケティング戦略としては、一人一人の顧客にとって最適な一連の「顧客体験」を与える「CX(カスタマーエクスペリエンス)戦略」が重要視される時代となりました。

これまでの社会や顧客へのマーケティング戦略だけでは足りず、一人一人の個人にとって最もよい体験をイメージさせるマーケティング戦略が必要な時代となったと言えるでしょう。

 

まとめ

いかがでしょうか?その時代の社会環境や需要と供給の変化により、マーケティング戦略は常に変化し進化し続けています。

現代はすでに「マーケティング5.0」時代に突入していると言われており、マーケティング5.0では、4.0に加えて、AIやロボティクス、VRといった「テクノロジーの有効活用」を視野に入れていることが特徴です。

次回の記事では、マーケティング4.0時代に重要な「CX戦略」を基軸に、企業が「売上を伸ばしかつ安定した収益基盤の仕組みを作る」ために重要な2つのポイントについて解説いたします。

【第二回】売上改善のために注力すべき2つのポイント

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